ペットの薬剤師

こんにちは。弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の鈴木徳子です。

令和4年5月1日に施行された愛玩動物看護師法に基づき、「愛玩動物看護師」という新しい国家資格が生まれました。第1回目の愛玩動物看護師国家試験は先月(令和5年2月19日)実施されたばかりです。

愛玩動物看護師は、獣医師の指示の下、愛玩動物の採血、投薬(経口など)、マイクロチップ挿入、カテーテルによる採尿などの「診療の補助」や愛玩動物の看護等の業務に携わることができます。

特に、「診療の補助」は、獣医師以外では愛玩動物看護師の有資格者のみに認められる独占業務となります。愛玩動物看護師法の「名称の使用制限」の規定(第42条)には、「愛玩動物看護師でない者は、愛玩動物看護師又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。」と規定されていますので、注意が必要です。

ところで、動物病院でペットの薬の調剤は誰が行うのでしょうか?薬剤師法によると、獣医師か薬剤師が行うことになっています。愛玩動物看護師のごとく、愛玩動物薬剤師や動物薬剤師という国家資格はありません。

ちなみに動物薬剤師という言葉をGoogle検索するとヒットはしますが、国家資格ではありません。

「動物薬剤師」については、動物の図形と組み合わせた商標(画像ご参照)が令和2年に、第44類の「調剤」サービス等を指定して出願(出願番号:商願2020-77257)されたようですが、令和3年に拒絶査定となっています。

拒絶の理由は、あたかも国家資格である「薬剤師」の一種、あるいは、同様の国家資格の認定を新たに行っているかのごとく誤信させるおそれがあり、登録を認めて独占使用権、排他権を付与することが、取引秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するというものでした(商標法第4条第1項第7号違反)。

たしかに、動物薬剤師だと、国家資格と間違える人もいるかもしれませんね。このような紛らわしい商標については、特許庁は、国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公序良俗に反するものとして判断し、基本的に登録が認めらることはありません。

商標に関し、何かご不明な点がありましたらお気軽にご相談下さい。

今日は以上です。

動物薬剤師

この記事を書いた人

鈴木 徳子