「裁定の手引き(令和5年度版)」が公表されています

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

文化庁から「裁定の手引き(令和5年度版)」が公表されていますので、今回はこれについて書きます。

裁定の手引き(令和5年度版)の表紙
引用:裁定の手引き(令和5年度版)

「裁定の手引き(令和5年度版)」はこちら

この資料ですが、著作権法で規定されている裁定制度の内容と実務が説明されています。

さて、この資料の内容ですが、次の目次となっています。

  1. 裁定制度とは
    1. 裁定制度の概要
    2. 裁定申請の対象となるもの
    3. 裁定申請を行うための前提
    4. 裁定の決定前における利用(申請中利用制度)
  2. 裁定手続の全体的な流れ
    1. 全体的な流れ
    2. 申請中に権利者と連絡が取れた場合
    3. スケジュール例
    4. 裁定手続チェックリスト
  3. 裁定手続の解説
    1. 文化庁への事前相談
    2. 相当な努力を払っても権利者と連絡することができない場合であることの確認
      1. 権利者情報を取得するための所定の措置をとること
        1. 広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他資料を閲覧すること
          1. 著作物等の種類に応じて作成された名簿その他これに準ずるものの閲覧
          2. 広くウェブサイトの情報を検索する機能を有するウェブサイトでの検索
          3. 過去になされた裁定に係る著作物等について、再度裁定を受けようとする場合にあっては、文化庁のウェブサイトに掲載された過去に裁定を受けた著作物等のデータベースでの検索
        2. 著作権等管理事業者その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に対し照会すること
          1. 著作権等管理事業者等への照会
          2. 同種著作物等について識見を有する者を主たる構成員とする法人等への照会
          3. 文化庁長官への照会
      2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法により、 公衆に対し広く権利者情報の提供を求めること
        1. 掲載方法
        2. 掲載例
      3. 取得した権利者情報や保有していた全ての権利者情報に基づき、 権利者と連絡するための措置
    3. 申請書等の作成・提出と手数料の納入
      1. 著作物の利用に係る裁定申請書の様式
        1. 日付
        2. 収入印紙
        3. 申請者
        4. 著作物の題号
        5. 著作者名
        6. 著作物の種類及び内容又は体様
        7. 著作物の利用方法
          1. 著作物の利用方法の記載例
          2. 数量や期間を区切って複数回に分けて利用する場合の記載例
          3. 複数の利用方法を想定している場合の記載例
        8. 補償金の額の算定の基礎となるべき事項
          1. 「裁定補償金額シミュレーションシステム」による確認
          2. 過去の裁定事例による確認
          3. 著作権等管理事業者への確認
            1. 著作権者と連絡することができない理由
            2. 著作権法第 67 条第2項の該当の有無
            3. 著作権法第 67 条の2第 1 項の規定による著作物の利用の有無
            4. 申請に必要なその他の資料
              1. 著作権者と連絡することができないことを疎明する資料
              2. 申請に係る著作物の体様を明らかにするため必要があるときは、その図面、写真その他当該著作物の体様を明らかにする資料
              3. 申請に係る著作物が公表され 、 又は相当期間にわたり公衆に提供され 、 若しくは提示されている事実が明らかであることを疎明する資料
      2. 実演の利用に係る裁定申請書の様式
        1. 日付
        2. 収入印紙
        3. 申請者
        4. 実演が行われた作品名や実演家の役名等
        5. 実演家名
        6. 実演の内容又は体様
        7. 実演の利用方法
          1. 実演の利用方法の記載例
          2. 数量や期間を区切って複数回に分けて利用する場合の記載例
          3. 複数の利用方法を想定している場合の記載例
        8. 補償金の額の算定の基礎となるべき事項
        9. 実演家と連絡することができない理由
        10. 著作権法第103条において準用する同法第67条第2項の該当の有無
        11. 著作権法第 103 条において準用する同法第67条の2第1項の規定による実演の利用の有無
        12. 申請に必要なその他の資料
      3. 担保金の供託(申請中利用の場合)
        1. 担保金の供託
        2. 著作物等の利用
        3. 担保金の供託が免除される場合
      4. 裁定の可否及び補償金の額の決定
        1. 文化庁長官による判断
        2. 裁定を受けるまでの標準処理期間
        3. 補償金の額の決定
      5. 裁定を受けた場合の手続
        1. 補償金の供託等
          1. 申請中利用を行わなかった場合
          2. 申請中利用を行った場合
        2. 著作物等の利用
        3. 補償金の供託が免除される場合【再掲】
      6. 裁定をしない処分を受けた場合の手続
        1. 権利者と連絡をすることができるに至ったことを理由とする場合
        2. 権利者と連絡をすることができるに至ったこと以外を理由とする場合
        3. 担保金の取戻し
  4. よくある質問
    1. 【資料1】申請書の記載例
      1. 記入例①(言語の著作物の復刊)
      2. 記入例②(言語の著作物のインターネット配信)
      3. 記入例③(音楽の著作物のインターネット配信)
      4. 記入例④(実演が録音 ・ 録画されたテレビドラマの DVD化)
      5. 記入例⑤(過去に裁定がなされている著作物等の裁定)
    2. 【資料2】多数の著作物等について「相当な努力」をしたことを疎明する資料の作成例
    3. 【資料3】関係法令等

この目次から分かるように、裁定制度の詳細までわかるような構成となっています。

例えば、裁定手続の全体的な流れとして、次のようなフローチャートが記載されています。

裁定制度の全体的な流れのフローチャート
引用:裁定の手引き(令和5年度版)

著作権法の裁定制度に関し、これほど詳細な資料はこの他にはないと思いますので、裁定制度の利用を考えている方にとって、必須の資料になるのではないでしょうか?

是非この資料を活用してください!

弊所では、裁定制度を含めた著作権に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

この記事を書いた人

branche-ip