意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件が緩和されます(2023)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

特許庁からプレスリリース「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について(出願前にデザインを公開した場合の手続について)」が公表されたので、今回はこれについて書きます。

意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について(出願前にデザインを公開した場合の手続について)
引用:特許庁HP

特許庁のプレスリリースはこちら

令和5年6月14日に公布された「不正競争防止法等の一部を改正する法律」により、意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続が緩和されます。

具体的には、改正意匠法の施行日以後は、意匠登録を受ける権利を有する者(権利の承継人も含む)の行為に起因して公開された意匠について、最先の公開の日のいずれかの公開行為について証明することで、その日以後に公開した同一又は類似の意匠についても新規性喪失の例外規定の適用が受けられるようになります。

意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について(概略図)
引用:特許庁HP

ただし、この改正意匠法が施行されるまでは、原則各公開ごとに新規性喪失の例外の手続を行う必要があるので注意が必要です。

ちなみに、この改正意匠法の施行日は、現時点(2023年9月時点)ではまだ決まっていません。

今回の意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件の緩和により、新規性喪失の例外規定の適用が容易になります。

ただし、注意していただきたいのは、意匠の新規性喪失の例外規定は、あくまでも意匠登録出願より前に公開された意匠は意匠登録を受けることができないという原則に対する例外規定である点です。

したがって、意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けても、次のような状況があり得る点に注意してください。

  • 仮に出願前に公開した意匠についてこの規定の適用を受けたとしても、例えば、第三者が同じ意匠を独自に創作して先に意匠出願していた場合や先に公開していた場合には、意匠登録を受けることができません。
  • 海外への出願を予定している場合には、各国の新規性喪失の例外規定にも留意する必要があります。各国の国内法令によっては、自らの公開により、その国において意匠登録を受けることができなくなる可能性もあります。

弊所では、意匠の新規性喪失の例外規定に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

この記事を書いた人

branche-ip