商標の「業として」でない使用

こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

猛暑が続いていますが、お元気でしょうか?体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。

ところで、私は以前、弁理士会の無料相談員をやっていた時期があります。

知財に関する様々なことを電話や面談で相談を受けるわけですが、あるとき、電話で「他人のマークを個人的に使っていますが侵害になりますか?」という相談を受けました。

お話を聞いてみると、その方の商標(マーク)の使用の態様は、全くの個人的使用であり問題はないことがわかりました。

そのときにふと思ったのですが、商標法第25条で定める「商標権の効力」の規定は、「商標権は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する」となっており、「業として」という記載がありません。では、「業として」ではない「個人的使用」には効力は及ばないということは、どこで読み取るのでしょうか?

商標法第2条第1項の「商標の定義」を見てみますと、「この法律で商標とは・・・・業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの・・・」と規定されています。すなわち「業として」ではない「個人的使用」については、そもそも商標法で規定する「商標」に該当しないということになります。ですから、ここで読み取ることになりますね。

ちなみに、特許法第68条の「特許権の効力」の規定では、「特許権者は業として特許発明の実施をする権利を専有する。」となっており「業として」という文言が明記されておりますので、「業として」ではない個人的使用には効力は及ばないということはここで読み取ることができます。

今日は以上です。

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

鈴木 徳子