中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料13

中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料13

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は、特許庁が長年検討を行ってきた知的財産戦略コンサルティング事業の集大成としてまとめた資料(中小企業支援知的財産経営プランニングブック)をご紹介します。
ちなみに、知的財産戦略コンサルティング事業に関しては、私も2回ほど(知的財産戦略コンサルティング活用事例集、知的財産戦略コンサルティング活用事例集2011)関わっています。

さて、このプランニングブックですが、知的財産戦略コンサルティング事業の集大成というだけあって、知的財産経営の”定着”の定義から支援の進め方まで一通り記載されています。

ちなみに、”知的財産経営”とは、「知的財産活動を企業活動に取り入れて、企業が保有する知的財産を有効に活用する経営形態」をいいます。

また、ここでの”知的財産活動”とは、「知的財産制度を利用して知的財産を取り扱う企業活動」をいいます。

そして、”定着”とは、「経営者が知的財産活動を企業経営に必要不可欠な活動と位置づけて実践されている」ことをいいます。

なかなか難しいですね。

このプランニングブックでは、知的財産経営がなかなか定着しない理由について、次の3つのパターンについて書いてあります。

  1. セミナー等に参加したり、書籍等で知的財産に関する汎用的な知識は得たものの、自社ではどのように知的財産活動を進めるか分からないというパターン
  2. 経営者も巻き込んでその企業が抱える課題を洗い出し、知的財産活動によって何を解決していくのかを考え、知的財産活動の経営戦略上の目的・位置づけは明確になったが、知的財産活動を実践する仕組みが整っていないというパターン
  3. 役割分担の決定や業務フローの整備等の知的財産活動を実践する仕組みを整えたものの、そもそも自社にとっての知的財産活動の目的・位置づけが明確になっていないというパターン

知的財産経営支援プロセスそして、右図のような支援プロセスを提示し、どのように支援したらよいかを解説しています。

このプランニングブックは、知的財産経営の支援を目的に作成されたものですが、知的財産経営を行いたいとう企業にとっても有用なものと思います。

ちなみに、このプランニングブックの目次は次のようになっています。

  1. 初めに(~地域中小企業知的財産戦略支援事業の歩み~)
    1. 本事業の趣旨
    2. 第1フェーズ ~知的財産戦略コンサルティングの創成期
    3. 第2フェーズ ~知的財産戦略コンサルティングの普及期
    4. 第3フェーズ ~知的財産経営の定着に向けて
    5. 本プロジェクトの成果を振り返って
  2. 知的財産経営を定着させるために
    1. 知的財産経営の定着とは
      1. 知的財産経営の’定着’の定義
      2. 定着モデルの考え方
      3. 知的財産経営が定着しないのはなぜか
    2. 定着可能な知的財産経営の支援プロセス
      1. 支援が定着につながらない例
      2. 定着モデルを用いた支援プロセス
      3. 本書の構成
  3. 支援の進め方1(~現状を把握する~)
    1. 問診票・診断書(問診セット)を用いたヒアリングの留意点
      1. はじめに
      2. ヒアリングの準備段階<まずは宿題をしよう!>
      3. ヒアリングのアポイントメント<社長にお願い!>
      4. ヒアリングの流れ<ギブ・アンド・テイクを忘れずに!>
      5. ヒアリングのテクニック<相手を尊重する会話を心掛けよう!>
    2. 問診票の活用 知的財産活動に関する50の質問
      1. 問診票・診断書(問診セット)の構成
      2. 逐条解説
  4. 支援の進め方2(~知的財産活動の目的・位置づけを考えるポイント~)
    1. 知的財産活動の目的・位置づけを考えるポイント
    2. 目的・位置づけを設定する
      1. 目的・位置づけを設定するために必要な要素
      2. 知的財産活動の効果
      3. 事業モデルと知的財産活動の目的
    3. 目的・位置づけを浸透させる
  5. 支援の進め方3(~知的財産活動を実践する仕組みを構築する~)
    1. 体制整備
    2. 業務フロー
    3. 規定類の整備
    4. 教育・研修
  6. 支援の進め方4(~知的財産活動に必要な知識~)
    1. 知的財産戦略・知的財産経営に関する知識
    2. 知的財産制度・知的財産実務に関する知識
  7. 支援人材の探し方
    1. 支援人材データベースとは<取組の背景>
    2. 支援人材とは<対象となる人材の定義>
    3. 支援人材データベースの機能
    4. データベース 活用までの流れ(登録から利用まで)
  8. 問診票・診断書(問診セット)
    1. 【様式1:問診票】企業記入用 知的財産活動に関するお伺い
    2. 【様式2:診断書】面談者記入用

実際に知的財産経営を行っている企業の状況も記載されています。

非常に役立つ情報だと思いますので、知的財産経営を行いたいと考えている企業の方は是非目を通してください!

なお、弊所でも知的財産経営のサポートをしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

今日は以上です。

追記:資料の保存場所が変更になっていたので、それに合わせてリンク先を変更

追記2:知的財産戦略コンサルティング活用事例集、知的財産戦略コンサルティング活用事例集2011がダウンロードできなくなったので、そのリンクを削除

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