日英EPAにおける産業財産権分野の概要

日英EPAにおける産業財産権分野の概要

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

イギリスの国旗先日のブログに、日英包括的経済連携協定(日英EPA)が締結されたことを書きましたが、特許庁から、この日英EPAにおける産業財産権分野の概要が公表されましたので、今回はそれについて書きます。

日英EPAにおける産業財産権分野の概要に関する特許庁のプレスリリースはこちら

このプレスリリースによると、日英EPAは、日EU経済連携協定(日EU・EPA)よりも高いレベルの知的財産権の強化が規定されているようです。

具体的には次のような事項が取り決められました。

  1. 手続の簡素化・透明化
    1. 国際協定(第14.3条)
    2. 複数意匠一括出願の導入(第14.36条)
  2. 知的財産の保護強化
    1. 悪意の商標出願の排除/外国周知商標の保護(第14.24条)
    2. 特許権・意匠権保護のさらなる強化(第14.35条、第14.38条)
  3. エンフォースメント強化
    1. 商標権を侵害するラベル・包装の使用に対する刑事罰義務化(第14.58条)
    2. デジタル環境における知的財産権の侵害に対する権利行使規定(第14.59条)

詳細は、特許庁のプレスリリースをご覧になっていただければと思いますが、いずれの項目も、知的財産権の強化につながっていくので好ましいと思いますが、個人的には、3.2の「デジタル環境における知的財産権の侵害に対する権利行使規定」に注目しています。

日本でも、インターネットウェブサイト上での著作権侵害や、電子商取引プラットフォームやソーシャルメディアを通じた商標権の侵害が問題となっており、先日「日本政府は商標権を侵害している場合、個人使用目的で輸入した物品であっても没収対象にする方向で検討する」との報道がなされました。

この政府方針に沿った形で、前もって日英EPAが締結されたのかもしれません。

ブレグジットによって、産業財産権の分野にも相当の影響があるのではないかと思っていましたが、日英EPAをはじめ様々な取り組みが行われた結果、産業財産権の分野に限っては、それ程影響がなく、むしろ日EU・EPAよりも高いレベルの体制が構築されそうです。

弊所では、英国への特許・意匠・商標に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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