著作権法が改正されました(2018)

著作権法が改正されました(2018)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今年、タブレット端末を使う子供のイラスト著作権法が改正されましたので、今回はそれについて書きます。
(なお、TPP11の発効に伴う著作権法の改正はこちら

平成30年度改正著作権法の解説はこちら

近年のIT技術の発展に伴い、著作物等の公正な利用を図ると共に著作権等の適切な保護に資するため、著作権法の改正がたびたび行われてきました。

そして、今年(2018年)も著作者の許諾なく著作物を利用することができるようにする、いわゆる権利制限規定が新たに整備されました。

具体的には、次のような条項が新たに追加されました。

  1. デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定
    1. 「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」に関する権利制限規定(新30条の4)
      ●著作物の市場に悪影響を及ぼさないビッグデータを活用したサービス等のための著作物の利用について、著作権者の許諾なく行えるようになります。
    2. 「電子計算機における著作物利用に付随する利用等」に関する権利制限規定(新47条の4)
      ●所在検索サービス(例:書籍情報の検索)等を、著作権者の許諾なく行えるようになります。
    3. 「新たな知見・情報を創出する電子計算機による情報処理の結果の提供に付随する軽微利用等」に関する権利制限規定(新47条の5)
      ●情報解析サービス(例:論文の盗用の検証)等を、著作権者の許諾なく行えるようになります。
  2. 教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備
    ●学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等を、著作権者の許諾なく行えるようになります。
  3. 障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備
    ●肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を、著作権者の許諾なく行えるようになります。
  4. アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等
    ●美術館等の展示作品の解説・紹介用資料をデジタル方式で作成し、タブレット端末等で閲覧可能にすること等を、著作権者の許諾なく行えるようになります。
    ●国及び地方公共団体等が裁定制度を利用する際、補償金の供託を不要とする。
    ●国会図書館による外国の図書館への絶版等資料の送付を、著作権者の許諾なく行えるようになります。

この法改正は、2019年1月1日から適用されます。

今回の改正は、非常に重要なものとなっております(特に30条の4)。

なお、30条の4については、文化庁がガイドライン※を作成するという話もありますので、文化庁の動向に注目しておいた方がよいと思います。

この改正は、著作権者の許諾を得ることなく利用できる著作物の範囲を広げるものです。
これらの条文を活用してビジネスをしようと考えている方は、これらの条文の外延をきっちりと抑え、後々問題とならないように注意してください。

弊所では、著作権に関するご相談も承っております。
著作権に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

追記:今回の法改正は、引用以外に自由に利用できる範囲を広げるものとなっておりますので、その点を修正しました(2018/9/19)
追記2:TPP11の発効が決まったので、TPP11の発効に伴う著作権法の改正のリンクを追加(2018/12/2)
追記:平成30年度改正著作権法の解説のリンクを追加(2019/8/4)

※現時点(2019年8月時点)において、文化庁はガイドラインを作成する予定はないようです。

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